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文書作成日:2019/09/20


 今回は相談事例を通じて、法定単純承認の概要についてご紹介します。



 父が亡くなり、相続をすることとなりました。整理をするうちに1000万円の借金があることが分かったので、相続放棄をしようと考えています。
 父が亡くなったことを聞いた債権者から、借金を返して欲しいと言われましたので、相続放棄のことを伝えたところ、「あなたはすでに相続財産の土地を3000万円で売却しているので、法定単純承認をしている。相続放棄はできない。」と言われました。
 確かに土地は売却しましたが、本当に相続放棄はできないのでしょうか。また、法定単純承認とはなんでしょうか。




 不動産の売却は、民法第921条第1項の「相続財産の全部又は一部の処分」にあたりますので、単純承認をしたものとみなされ、債権者の言う通り相続放棄を選択することは難しいと考えられます。




 相続が発生した場合、相続人は、単純承認、相続放棄、限定承認のいずれかを選択することになります。単純承認とは、積極財産、消極財産などすべての権利義務を無限に承継することです(民法第920条)。また、自ら積極的に単純承認をする意思表示をした場合でなくても、要件を満たす場合には単純承認を選択したものとみなされることとなり、これを法定単純承認といいます(民法第921条)。

 法定単純承認の要件は、以下の通りです。

民法第921条(法定単純承認)
次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第602条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。
二 相続人が第915条第1項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。
三 相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りではない。

 なお、財産の全部又は一部の処分には今回の不動産の売却や預貯金の解約などの他、相続財産をわざと壊してしまうなどの事実行為も含まれます。
 相続放棄や限定承認を選択する場合には、相続財産の取り扱いには注意が必要です。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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